伽藍・寺宝・諸像を拝観する 珍しい伽藍の配置

 祥雲寺の主な伽藍には、本堂、山門、鐘楼、庫裡会館等があります。この伽藍の配置が独特で貴重です。各地の寺院を訪ねてみますと、ほとんどの寺院が鐘楼が参道の脇に設置しています。
 ところが、祥雲寺では鐘楼を山門と本堂とを結ぶ参道上のほぼ中間に設置しています。ですから祥雲寺では、山門・鐘楼・本堂が一直線上に並ぶという珍しい形態をつくりだしているのです。鐘楼が山門と本堂との中間に設置されているということは、 梵鐘の下を参詣者にくぐっていただく 「鐘楼門」の働きをもたせたものと思われます。
  本堂は寛政元年の建築
 二世・風山大春和尚が、現在地に祥雲寺の伽藍を建立したのは、正保二年(一六四五)のことでした。その後、八世・本光瞎道和尚の代に立て替えが行われました。その時の本堂は、残念ながら天明八年(一七八八)の火災で焼け落ちてしまいましたので、今では当時の形態や様子は偲ぶべくもありません。
 現在の本堂は、その後の寛成元年(一七八九)に、十四世・大栄千樹和尚が再建したものです。それにしても、再建後すでに二百十余年の歴史を重ねてきているわけです。
 本堂内は、内陣中央に御本尊・釈迦牟尼如来仏を安置し、両袖に達磨大師像と大権修理菩薩を安置しています。
 再建当初の本堂の屋根は麦藁葺き屋根でした。それが現在のように瓦葺きにされたのは、第十八世・昭山玄霊和尚の代でした。 この本堂は、雄大な姿そのものが特徴の一つにあげられますが、三段垂木(たるき・屋根板を支えるために棟木から軒桁に架け渡す材木)になっている軒が、建築学上ではたいへんに貴重な遺構だといわれています。
 本堂の入り口近くの天井には、御駕篭が一丁保存されています。江戸時代作の御駕篭で、住職が檀家の法事に招かれたり、盂蘭盆(うらぼん)・正月などに檀家を訪問する時などに使用したものと思われます。現在はまったく使用することはなくなりましたが、往時の住職の様子を偲ぶ貴重な証人といえましょう。
 御本尊の裏面は、道元・瑩山両祖大師木彫彩色像、開基・開山の位牌、歴代住職の位 牌、それに開山の木彫彩色像などが安置される「開山堂兼位牌堂」になっています。この開山堂には、檀家の鹿貫家から寄託された源頼朝公の貴重な位 牌も安置されています。
 『開基さま位牌の銘』 日月 瑞竜祥雲居士霊 慶長十四己酉年(一六〇九) 七月十一日(ほかに十二名の法名が刻まれています。
   『開山さま位牌の銘』
 祥雲開山牛室香◆大和尚禅師  『二 世 位牌 の銘』 前總持當寺二世風山大春大和尚禅師 『源頼朝公位牌の銘』 嘯源大禅定門 正治元年(一一九九)己未 正月十三日
  貴重な建築文化財の山門
 天明八年(一七八八)の祥雲寺火災のときに、唯一焼失を免れたのがこの山門です。仁王像・狛犬像を山門両脇に安置して、 朱塗りの柱が朝日に映える山門は、歳月を重ねた自然の風格が漂っています。柱が六本あることから「六つ足門」とも称される山門です。
 山門が建立されたのは、十世・大光蜜仙和尚の代ですが、建立年は定かではありません。蜜仙和尚が祥雲寺住職として宝暦二年(一七五二)に入山し、寛政元年(一七八九)に遷化していますので、十八世紀後半の建立であることには間違いありません。
 高橋家世代書に、此十代様、詩寮、鐘堂、六ツ足門ヲ建ル。當國植木野村産。當寺ニ而遷化。大功有リ。 とありますし、山田郡誌によりますと祥雲寺に梵鐘あり、安永八年(一七七九)仲秋上浣鋳造、佐野天明の鋳物師・丸山善太郎藤原易親と丸山彦太郎藤原重保両人が鋳造。願主は大光叟 と記述されていますので、山門建立時期も同年(安永八年)頃と推定してよいようです。
 また、この山門について「桐生市及び近郊に現存する古建築の調査(野口三郎著)」では、次のように記述しています。
 表門は、大面取りの柱からなる一間一戸の四脚門。大面取りがこの辺では珍しい。寺伝によると三回ほど兵火にみまわれ、そのたびに再建され、今ある門の建立された時期も明確にしるされているという。
 その他、転び柱、海老紅梁、地角飛角の二間半割捶、桟瓦葺、猪の目懸魚、朱塗り、台輪つき、石の礎盤等々からなっている。くどいようだが大面 取りのある珍しい遺構の一つである。
  傾いて調和する鐘楼
 鐘楼の建立されたのは、山門と同じく十世・大光蜜仙和尚の代ですが、こちらは天明八年(一七八八)の火災で焼失。現在の鐘楼は寛政元年(一七八九)に再建したものです。
 この鐘楼は梵鐘の重量を計算に入れて、庫裡会館寄りの柱二本が直立に近く立てられてあり、墓地寄りの柱二本が、やや傾斜して立ててあるという特色をもっています。
 安永八年(一七七九)鋳造の旧梵鐘(前記参照)は、第二次世界大戦のときに惜しくも「お国ために供出するという美名のもとに姿を消してしまいました。現在の梵鐘は昭和三十五年に新たに鋳造した梵鐘で、時の鐘、除夜の鐘として澄んだ音色を周辺に響かせています。
 現在の梵鐘には、次の銘が刻まれています。
南 無 釈 迦 牟 尼 佛 大鐘供出積年空 担信投財新鋳充 佛誕佳辰初一撞 梵音嫋々百花中 祥雲美施  梵鐘一撞破業明  瑞龍山祥雲十九世美施   新鋳委員長    高橋 政四郎     会 計   齋 藤 鍋 二 町 田 忠 一    檀信徒一同   昭和卅五庚子四月佛誕日     浄財で建てられた庫裡会館
 庫裡会館は、昭和五十六年(一九八一)に檀信徒の浄財で建てられました。鉄筋四階建ての建築物で、一〜二階が庫裡、三階が広間、四階が位 牌堂兼坐禅堂となっています。
   現在は「毎月参禅会を!」という、檀信徒の声で始められた坐禅の会(祥雲会)や御詠歌の会が、この庫裡会館で催されています。檀信徒の皆さんが、これらの会へ自由に参加して、和やかな雰囲気の中で釈尊の教えや曹洞宗の教えに接しています。
 『坐 禅 の 会』  坐禅の会は、毎月第二日曜日の午前六時から開催しています。坐禅は曹洞宗檀信徒の大切な修行のひとつです。坐禅の目的などは前述「坐禅を大切にする」を参考にしてください。 『御詠歌の会』 御詠歌の会は、毎週火曜日午後七時から開催しています。御詠歌は仏やその教えをたたえる歌で、和讚を鈴を振りながら節を付けて詠います。

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